イノベーションやDXは、専門スキルを持つ人々だけでは実現できない。その人々を取り巻く組織が果たす役割が重要であるとよく指摘されます。イノベーションで言えば「異質なものを排除しない組織文化」。DXではそれに加えて、「データをどのように集め、活用するかを、皆が最低限理解していること」などでしょうか。

このことは米国のゼンガー・フォークマン社と一緒にリーダーシップ研修※をご紹介している弊社にとっては、とても興味深いものです。

※ ここでのリーダーシップは、経営者、管理者だけでなく、新入社員でも発揮できるリーダーシップを含めた幅広いものです。新人のグループワーク見て「今年の新人は部長から厳しい指摘をされても、声を出して励まし合っているね。リーダーシップがあるね」なんて言うことがあります。役職がなくても、年齢が若くても、立場にふさわしいリーダーシップを発揮することは可能だからです。

弊社のリーダーシップ開発研修では、前もって強みや克服すべき弱みをサーベイで調査します。(余談ですが、弱みの中には直さなくてもよいものがあります!それも見つけます。)サーベイの結果、ある強みが極めて高いレベルだと(そこそこ、ではなく)、個人としてもチームや組織としてもパフォーマンスが高まる傾向が証明されています。

例えば「課題分析と問題解決」を強みとするAさんを想像してみます。多くの人は、IQ的な能力、つまり高い論理性や分析力、計数理解力がAさんの持ち味だと考えるでしょう。その考えに間違いはありません。

次にAさんが「課題分析と問題解決」の力を極めて高いレベルに引き上げようと思うなら、何をすれば有効でしょうか。

統計分析がはじき出した選択肢はたくさんありますが、面白いことにそのうち半分が率先力や柔軟性、コミュニケーション能力など、IQ能力とは無縁に見える能力を強化することなのです。

つまり「課題分析や問題解決能力がそこそこに強いだけでは、パフォーマンスを押し上げる効果は高くない」ので、「極めて高いレベルに伸ばすには、課題分析と問題解決以外の能力に力を入れなくてはならない」というわけです。

イノベーションやDXで大きな成果を出すために必要なことと、似ているなあと思うのですがいかがでしょうか。

なお冒頭で少し触れたリーダーシップ開発の理論やサーベイについて、以下に補足しましたのでご興味があればご覧ください。ゼンガー・フォークマン社のリーダーシップ開発研修は複数あります。ホームページのこちらのページで提携サービスを選ぶとご覧いただけます。

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弊社のパートナー、ゼンガー・フォークマン社はリーダーやマネジャー育成に関する論文をハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)やフォーブス等に寄稿してきましたが、HBRのある論文では、人材育成において以下の重要性を指摘しました。

―よほどの欠点がある場合を除いて、人材開発では強みに目を向けるべきである
―生まれ持った強みがあるだけでは企業にとって不十分。パフォーマンスが大きく向上するには自分固有の強みを際だったレベルに引き上げる必要があるというものです。

論文が注目を集めた理由は、リーダーシップというあいまいでモヤモヤとしたものと、企業や個人のパフォーマンスに強い相関があることを、合算100年近く蓄積したデータを分析して証明したからです。AIでビッグデータを解析するのに似た手法で、人材開発の最適解を提示したのです。もっとも論文掲載されたときには、まだビッグデータとかAIという言葉はありませんでした。

この研究から、ゼンガー・フォークマンのサーベイが生まれました。強みを見つけることはもちろん、弱みがある場合、放置してもいいのか直す必要があるのかを判断するためのサーベイです。さらにデータ分析から、見つかった強みを際だったレベルに引き上げる方法が見つかりました。

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