シニア管理職向け研修で、説得力や対人影響力を高めるコミュニケーション法を教え、議論していたら、衝撃波に撃たれたかのようなオドロキの表情とともに、「そんなことまでしてあげないとダメなのか?」という反応が返ってきました。
「相手の感情をくんだり、共感を伝えたり、細かな言葉づかいに気を回したりする必要が、なぜある?自分は、上司からそんな話し方はされなかったぞ」。
「ごもっとも。でも、しないとダメです」。ちゃんと科学的根拠とコンサルティング事例に基づいています。
でも、根拠を示すよりも先にお伝えしたいことがあります。
私たちは得てして前述の管理職の方のように、「上司は私にそうしなかった。なぜ私が部下にしてあげなくてならないのか。そこまで言わなくてもわかるはずだ。わかるべきだ」と考えがちです。そしてあることを見落としてしまいます。
それは相手がどのような社会的、文化的環境の中で成長してきたのか…です。
現代のシニア層が子供の頃は親や先生の発言が絶対で、社会人になってからは上司の命令をいち早く遂行するのが部下の務めでした。でも近代の親と子供はより対等な関係性を結ぶようになり、家庭のありかたに伴ってコミュニケーションのあり様も変化してきました。
部下にとどまらず、相手に影響力を及ぼすには、自分の体験との比較はほどほどにして、相手にもっとも響く訴え方を選択することが大切になります。