人や組織の問題は、最初に見えているほど単純ではないことがあります。
状況を理解していくと、何に働きかければよいのかが少しずつ見えてきます。
実際の課題と、そこから生まれた変化の一部をご紹介します。
成果を出している管理職なのに、周囲との関係に問題がある
課題
高い成果を上げる一方、部下への強い接し方が問題となり、
周囲との関係や人材育成に大きな課題を抱えていました。
当初の見え方
育成への関心が薄く、成果さえ出せばよいという
本人の考え方や性格の問題だと見られていました。
実際に起きていたこと
本人も問題があることは認識し、
これまでにもさまざまな指導を受けていました。
しかし、なぜ自分の言動が問題なのか十分に納得できず、
周囲に与えている影響の大きさも正しく理解できていませんでした。
何をしたか
客観的なアセスメントを起点に、
自分の行動と周囲への影響を理解するための学習と実践を行いました。
その後も一定期間、実践、振り返り、コーチングを重ねました。
何が変わったか
周囲との関係は大きく改善。
自分の言動がチームの成果にも影響することを理解し、
行動そのものが変わりました。
周囲からの評価も、「自分の弱さをさらけ出せる素晴らしいリーダー」へと大きく変化しました。
次世代人材に、もっと広い視野で組織を動かしてほしい
課題
次世代を担う人材に、より広い視野や経営視点を持ち、
自ら組織を動かしてほしいと考えていました。
当初の見え方
指示を待ち、自分の役割の範囲を越えようとしない。
次世代を担う当事者意識が十分ではないように見えていました。
実際に起きていたこと
本人たちは、これまで組織の階層や自分の役割を守って仕事をしてきました。
一方、環境の変化とともに自分たちへの期待も変わっていることや、
これまでの枠を越えて何を期待されているのかが、十分に伝わっていませんでした。
何をしたか
自分の仕事ぶりが周囲からどう見えているのか、
今後何を期待されているのかを客観的に確認。
さらに組織のキーパーソンとの対話を通じて、
組織の変化と自分に求められる役割を考える機会を設けました。
何が変わったか
「求められたことを実行する」という仕事の捉え方から視点が広がり、
自ら考えて行動する人が増えました。
その行動は、それぞれの職場で必要とされることに応じて、
さまざまな形で現れました。
管理職が働きかけても、チームが動かない
課題
管理職が働きかけても
チームが思うように動かず、一体感も生まれない。
本人にも、何が問題なのかよくわかっていませんでした。
当初の見え方
本人のリーダーシップや
チームマネジメントに問題があるように見えていました。
実際に起きていたこと
経験や世代の違いなどから、
マネジャーの意図と言動がメンバーに正しく伝わらず、
本人が意図していない受け止め方をされていました。
何をしたか
アセスメントによってチーム内で何が起きているのかを確認。
すべてを一度に変えようとせず、
チームとの関係をつなぐキーパーソンとの関係づくりや、自分の意図が伝わる働きかけなど、
重要なところから行動を変えていきました。
何が変わったか
自分が無意識に周囲へ与えている影響を理解し、
重要な場面で意識的に行動するようになりました。
その後のアセスメントでは、
多くのメンバーからの評価が改善していることも確認されました。
重視している方針や基準が、なかなか徹底されない
課題
会社として重視している方針や基準が、
組織の中で思うように徹底されていませんでした。
当初の見え方
現場の意識や真剣さが足りない、
あるいはマネジャーの指導が十分ではないと
考えられていました。
実際に起きていたこと
マネジャーは「もっと真剣に取り組むように」と働きかけていました。
一方、部下側には、一人では解決しにくい問題や
実行上の難しさがありました。
双方が真剣に取り組んでいても、
その間にある問題が十分に話し合われていませんでした。
何をしたか
日頃のマネジメントが周囲からどう見えているのかを確認するとともに、
「なぜできないのか」を上司の考えだけで判断せず、
行動を妨げている要因を考える方法を学習。
部下との対話の中で、それを明らかにしていく練習も行いました。
何が変わったか
一方的に求めるだけでなく、
相手の状況を理解しながら問題を解決することも
マネジメントの役割だという認識が広がりました。
当初は戸惑いもありましたが、
やがてこうした関わり方の重要性が共有され、
組織の中での行動にも変化が生まれました。
能力の高い人が集まっているのに、よい意思決定ができない
課題
高い知識や経験を持つ人材が集まっているにもかかわらず、
議論がかみ合わず、
組織として納得のいく意思決定ができていませんでした。
当初の見え方
それぞれが自分の立場から主張し、互いの領域を十分に理解できないことから、
コミュニケーションや会議の進め方に問題があるように見えていました。
実際に起きていたこと
自分が詳しくない領域では、どこまで議論に関与すればよいのかわからない。
一方、相手の領域をすべて理解しようとすれば、膨大な時間がかかります。
そのため、十分に検討できないまま判断したり、
時間をかけても議論が前に進まなかったりしていました。
何をしたか
異なる知識や情報を持つ人たちが一緒に考えるための、
分析、問いかけ、議論の進め方を共通の方法として学習。
実際の仕事に近いテーマを使って繰り返し練習しました。
何が変わったか
互いの仕事に精通していなくても、
重要な論点を見極め、一定の手順やルールを共有することで、
議論の質と効率を高められることが理解されました。
支援終了後も、学んだ方法が重要な議論や意思決定に使われています。