リスク・コミュニケーションを専門とする方の寄稿文を拝見しました。
それによると、リスク・コミュニケーションにはリスクを正確に知らせる側面と、専門家の間でも重視するポイントに個人差があるから、話し手聞き手が会話を通じてリスクについて理解を深めていくプロセスそのものの側面があるとのことです。
世間の風潮が伝える語感としては、前者の「危機においてパニックを起こさず、無関心を招かず、適切に情報を伝える技術」と受けとめがちです。
でも実は後者のプロセスが大切で、「専門家A氏はXが重要だと言っている。B氏はYだと言っている。なぜ違うのですか」と専門家に質問を返したり、比較したりして互いに理解を深め、納得することが重要だということです。
そして納得するための基本は相互の信頼関係なのだそうです。信頼関係がない相手の話は誰も真に受けませんから…。納得しました。
ところで余談ですが、上記は言うは易し、行うは難しです。
日頃から行動を見ている身近な人でない限り、まずはあれこれ質問しないと、相手の考えや価値観がわかりません。
ところが、
―専門分野が異なる人の話は難解で理解が難しい。
―使われている用語すら理解できない。
―素人が無邪気に質問して相手の気を悪くさせたら困る。気を悪くさせない話し方、気を悪くさせたら、修復する話し方がわからない。
「精密に考える思考のツール」や「ダイアローグワークス」は、このような難解な会話にぴったりの理論とスキルをご紹介しています。ご興味のある方はそれぞれのページを参考になさってください。