管理職研修では、コミュニケーションが話題になることがよくあります。
「もっと部下とコミュニケーションを取ったほうがいい」
「1on1の機会を増やしたい」
「部下の話をもっと聞かなければ」
誰かがそう話すと、周囲の皆さんが深くうなずく。
筆者も一緒にうなずいています。
エンゲージメント、心理的安全性、部下育成、チームワーク。
テーマは違っても、そのために必要なものとして
「コミュニケーション」が登場することは少なくありません。
ことほどさように、人間とは複雑な生き物で、
他者と関わり合うことには、
数学のように公式を当てはめれば答えが出るわけではない難しさがあります。
ところが、一番聞きたいことを聞いていない
弊社でも、人を動かす立場の皆さんと
コミュニケーションについて考える機会が頻繁にあります。
面白いのは、
質問のしかたや相手の話を聴くことがこれほど話題になるにもかかわらず、
こんな質問が頻繁に出てくることです。
「自分は親切心から部下に声をかけているけれど、
うっとうしいと思われていたらどうすればいいでしょう?」
「そこまで部下は支援を求めているのでしょうか?」
そんなときは、
「それこそ、本人に聞いてみたらどうでしょう?」
と答えます。
「私は役に立つかなと思って声をかけているけれど、
じっくり考えたいから一人にしておいてほしいときは、遠慮なく教えてね」
と伝えて、相手の答えを聞けばいい。
すると皆さんが一気に、
「なああああんだあああ。そんなことでいいのか」
という感じに緩むことがあります。
相手のことを、相手に聞く
私たちは相手のことを考えるとき、
「どう接するべきだろう」
「どのくらい声をかけるべきだろう」
「どうすればモチベーションが上がるだろう」
と、一生懸命考えます。
もちろん、考えることは大切です。
でも、
相手がどう感じているのか、
何を必要としているのかについては、
本人に聞かなければ分からないこともあります。
コミュニケーションを増やすことよりも、
上手な質問を考えることよりも、
その前に、
「あなたはどう思う?」
と聞いてみる。
人は意外と、一番聞くべきことほど、自分では思いつかない生き物なのかもしれません。