数か月前に研修に参加された、ある管理職の方とのコーチングがありました。
SmartWorksの人材育成では、研修の後にコーチングを組み合わせることがあります。
研修で気づいたことを、実際の仕事の中で試してみる。
うまくいったこと、いかなかったことを振り返り、次に何をするかを考える。
研修での学びを、職場での行動につなげていくためです。
今回お話しした方は、高い専門性を持つプロフェッショナルであり、管理職でもあります。
仕事には高い水準を求め、細部まできちんと仕上げる。
それは長い間、この方の強みでもありました。
ところが、会社を取り巻く環境が変わりました。
グローバルに事業を展開する中で変化のスピードが速まり、
事業の統廃合などに伴って、チームの仕事や編成も絶えず変わるようになりました。
すると、それまで本人を支えてきた「完璧に仕事をする」ことが、
今度は「変化のスピードを遅らせてしまう」という問題が起きてきました。
上司からの評価も下がり始めました。
強みだったものを、少し手放す
この方に必要だったのは、それまでの自分を否定することではありませんでした。
むしろ、環境が変わった今、
これまで自分を支えてきた仕事の仕方を
どのように変えるかを考えることでした。
たとえば、
- 完璧さを少し手放す
- 小さなリスクを受け入れる
- 仕事のスピードを上げる
- 周囲の変化を妨げない
- さらに一歩進んで、周囲と一緒に変化を進める
言葉にすると簡単ですが、これは本人にとって小さな変化ではありません。
自分が長い間大切にしてきた仕事の仕方であり、
それによって評価され、成果を上げてきたのですから。
「それを変えてください」と言われて、
簡単に変えられる人ばかりではないでしょう。
「自分が何をすれば、皆の役に立つのだろう?」
コーチングを重ねる中で印象的だったのは、
この方が少しずつ自分自身を客観的に見るようになっていったことでした。
自分が大切にしてきた「完璧さ」と、
会社が今必要としているものとの間に、ずれが生まれている。
その葛藤を認めたうえで、自分の仕事の仕方を変えようとしていました。
そして、考えることも変わっていきました。
「自分が何をすれば、皆の役に立つのだろう?」
自分の仕事を完璧に仕上げることだけではなく、
上司や経営陣の視点から、チームや会社にとって今何が必要なのかを
考えるようになっていったのです。
見ている景色が変わる
その方が、こんなことをおっしゃいました。
「研修前の自分が見ていた景色と、今見ている景色はまったく違う」
行動が変わる前に、ものの見え方が変わることがあります。
これまで成功を支えてきた自分のやり方を少し手放し、
今いる環境を別の角度から見て、自分にできることを考える。
人がそんなふうに変わっていく過程に立ち会えることは、
この仕事をしていて、とても印象に残る瞬間の一つです。
この方がこれからどんな景色を見るのか、楽しみです。