Human Leadership System Journalを創刊します。
出発点は、一つの問いです。
「なぜ、優れた人材が集まっているのに、成果を出し続ける組織と、そうでない組織があるのだろう。」
HLS Journalでは、世界の優れた組織を研究し、制度や経営理念だけではなく、そこで働く社員が実際にどう考え、対話し、判断し、行動し、学んでいるのかをEvidenceから探っていきます。
Peemoが公開情報からEvidenceを収集・報告し、Dashが人材開発の視点から、その意味を分析します。
海外企業の制度を日本へそのまま持ち込むことが目的ではありません。
日本企業の人的資本を、社員の主体性、自律、対話、学習、そして成果へどうつなげるか。
そのヒントを世界から探すジャーナルです。
なぜ、Human Leadership Systemなのか
Peemo(公開情報からEvidenceを収集・報告するリサーチパートナー):
「Dash、なぜ今、Human Leadership System Journalを始めるのですか?」
Dash(Evidenceを人材開発の視点から分析し、意味を考える役割):
「日本人の生産性を世界一にするための支援をしたい。これが原点です」
日本には、世界に誇れる製品やサービスを生み出してきた企業があります。
そして、その現場には高い専門性、責任感、品質へのこだわり、顧客への誠実さを持った社員が数多くいます。
それでも、日本の労働生産性は世界のトップ水準ではありません
では、その違いはどこから生まれるのでしょうか。
私は、個人の能力だけを見るのではなく、
「人が持っている力を、組織の成果へ変えられる仕組みがあるか」
という視点が重要だと考えています。
最初にデンマークを見る理由
Peemo:
「Issue 0では、最初にデンマークへ注目していますね」
Dash:
「人口規模の大きな国ではありません。それでも国際的に高い生産性を示している。そこが興味深かったんです」
OECDの2024年データでは、デンマークの時間当たり労働生産性は92.2ドルと、OECD諸国の中でも高い水準です。
一方、日本生産性本部がOECDデータ等をもとに算出した2024年の日本の時間当たり労働生産性は60.1ドル、OECD加盟38カ国中28位でした。
もちろん、国の生産性は産業構造、資本装備、企業構成など多くの要因から生まれます。
ですから、
「デンマーク人の働き方をまねれば、日本の生産性も上がる」
という単純な話ではありません。
HLSが知りたいのは、その先です。
「信頼」を社員の行動まで降ろしてみる
Peemo:
「Issue 0では、デンマークから学びたいテーマとして、次の6つを挙げています。
人を信頼する文化。
対話と尊重。
学び続ける仕組み。
長期的な人材育成。
目的を持ったリーダーシップ。
問題を発見し、改善する力です」
Dash:
「ここでHRとして注意したいのは、言葉だけで終わらせないことです」
例えば、「人を信頼する文化」。
とても魅力的な言葉です。
でも、HLSで見たいのは、社員の具体的な行動です。
問題を発見した社員は、上司から細かい指示が来るまで待つのか。
それとも目的を理解したうえで、自分の責任範囲を判断して動くのか。
必要な情報を自ら探すのか。
自分だけでは判断できなければ、詳しい人に自らつながるのか。
「主体性」や「自律」という言葉も、こうした日常の行動まで降ろして初めて見えてくるものがあります。
リーダーシップは役職者だけのものか
Peemo:
「社員が自分で判断して動くとなると、リーダーシップにも関係しそうですね」
Dash:
「そうですね。飛びぬけたリーダーの視点とも重なる部分があります」
飛びぬけたリーダーでは、リーダーを単に役職者として捉えていません。
自分の目標を達成することを通じて、チームの目標達成に貢献する。
そこには、イニシアチブ、問題解決、判断、協働などにつながる行動があります。
人材開発を考えるとき、
「リーダーシップ行動を、マネージャーになってから初めて学ぶのでは遅いのではないか」
という問いが生まれます。
若手や中堅の段階から、日常業務の中で自分で考え、判断し、周囲と協働する経験を増やせないか。
HLS Journalで見ていきたいポイントの一つです。
「対話」は、仲良く話すことではない
Peemo:
「Issue 0には『対話と尊重』もあります」
Dash:
「ここは、ダイアローグワークスの視点で見るとさらに面白くなります」
人は、事実を完全に同じように見ているわけではありません。
経験、知識、価値観、過去の成功などのメンタルモデルを通して、情報を見ています。
だから、同じEvidenceを見ても解釈が違うことがあります。
大切なのは、違いをなくすことではありません。
「私が実際に見たEvidenceは何か」
「私はそこにどんな意味を加えたのか」
「別の見方はないか」
と対話することです。
心理的安全性も、
「反対意見を言っても怒られない」
だけで終わらせず、
「より良い判断をするために、異なる意見を必要としている」
という状態まで進められるのではないでしょうか。
改善する前に、問いを変えてみる
Peemo:
「もう一つ、Issue 0には『問題を発見し、改善する力』があります」
Dash:
「これはPQA(精密な質問と回答)の視点とつながります」
例えば、
「この資料をどうすれば20%速く作れるか?」
という問いがあります。
改善としては正しい問いです。
しかし、その前に、
「そもそも、この資料は何のために作っているのか?」
「誰が、どんな意思決定に使っているのか?」
と聞いてみたらどうでしょう。
答えを改善するだけでなく、最初の問題設定そのものを問い直す。
AIがさまざまな仕事を高速化できる時代だからこそ、この視点は重要になります。
必要性の低い仕事をAIで高速化するだけでは、人の力を最大限に活かしたことにはならないからです。
HLSが見たいのは「会社が言っていること」だけではない
Peemo:
「これから企業を研究するとき、何を優先して探しましょうか?」
Dash:
「社員が実際に何をしているか、ですね」
会社が、
「社員を信頼しています」
と言っている。
それは重要な情報です。
しかし、HLSではさらに一歩進みます。
社員は顧客の変化をどう発見しているのか。
問題を見つけたとき、誰に相談するのか。
自分とは違う意見をどう扱うのか。
誰が判断するのか。
判断した後、どれくらい速く行動するのか。
失敗したとき、何を振り返るのか。
成功したとき、その経験をどう次へ活かすのか。
こうした具体的な社員行動をEvidenceから見ていきます。
海外の制度をコピーするためではない
Peemo:
「では、デンマークで良いものが見つかったら、日本企業にも導入するのですか?」
Dash:
「そのまま持ってくることは考えていません」
日本とデンマークでは、歴史も文化も制度も産業構造も違います。
ある企業で機能した仕組みが、別の企業で同じように機能する保証はありません。
だからこそ、
「この制度を導入しましょう」
ではなく、
「なぜ、この社員行動が生まれているのだろう」
と考えます。
そして国や業界が違っても、高い成果を生み出す企業の社員行動に共通するものがあるのかを探っていきます。
人的資本を「行動」から考える
人的資本経営という言葉が広く使われるようになりました。
研修時間。
エンゲージメント。
人材ポートフォリオ。
スキル。
さまざまな指標があります。
もちろん、どれも重要です。
しかし、その先にある、
「社員の仕事の仕方は、本当に変わったのか」
も見ていく必要があると思います。
自分で考える。
問いを立てる。
異なる人と対話する。
判断する。
行動する。
結果から学ぶ。
こうした社員の具体的な行動が変わり、顧客や組織の成果につながって初めて、人材開発と人的資本が結びついていくのではないでしょうか。
Peemo:
「HLS Journalは、世界の“正解”を探すジャーナルではないんですね」
Dash:
「そうです。むしろ、世界のEvidenceから日本企業にとって意味のある“問い”を見つけたい」
優れた人材がいる。
それでも、組織によって成果に差が生まれる。
なぜなのか。
Human Leadership System Journalでは、世界の優れた組織で働く人たちの具体的な行動を追いながら、その問いを考えていきます。
人を信頼する。
目的を共有する。
対話する。
学ぶ。
問い直す。
改善する。
そして、人と組織がともに成長する。
「日本人の生産性を世界一にするための支援をしたい。」
これがHLS Journalの原点です。
ここから、Peemoと一緒に世界のEvidenceを探していきます。
Akira Chida (Dash)
SmartWorks
HLS Global Case Research