研修や能力開発では、さまざまな能力を分けて考えることがあります。

コーチング、フィードバック、チームビルディングなどは、
人との関係を築き、相手に働きかける力。

一方、情報を分析する、論理的に考える、問題を解決する、戦略を考えるといったものは、
思考や判断に関わる力です。

かつては、こうした違いを「EQ的な能力」「IQ的な能力」と表現することもよくありました。

分類すること自体は便利です。

ただ、実際の仕事でも、それぞれの能力は別々に使われているのでしょうか。

たとえば、上司が部下と話をするとします。

相手の気持ちに配慮することは大切です。
話をよく聞くことも必要でしょう。

しかし、それだけでは十分とは限りません。

相手が話していることから何が分かるのか。
何がまだ分からないのか。
本人が困っている本当の問題は何なのか。
どのような働きかけが必要なのか。

こうしたことを考えながら話を進めるには、
情報を整理し、分析し、判断する力も使います。

また、どれほど相手を気づかって話していても、
こちらの説明に論理性がなければ、相手を納得させることは難しいでしょう。

人に働きかける力の中でも、考える力は使われています。

反対方向の組み合わせもあります。

優れた分析をしていても、
その考えを周囲に伝えられなければ、
組織の意思決定には活かされないかもしれません。

問題を正確に捉えていても、
異なる意見を持つ人と話し合えなければ、
解決まで進めることが難しい場合もあります。

実際の仕事では、一つの能力だけで成果を生み出している場面は、
それほど多くありません。

一見別々に見える能力が組み合わさることで、
一つの能力がより効果的に発揮されることがあります。

能力開発では、
「コミュニケーション力を高めよう」
「問題解決力を高めよう」
と、一つの能力に焦点を当てることがあります。

もちろん、それが必要なこともあります。

しかし、期待するほど成果が上がらないとき、
足りないのは、その能力そのものとは限りません。

その能力をより効果的に発揮するために、ほかのどのような能力が必要なのか。

一つの能力だけを見るのではなく、
能力同士の組み合わせに目を向けることで、
能力開発の新しい可能性が見えてくることがあります。