弊社パートナー、ゼンガー・フォークマン社は、
長年にわたって蓄積してきたグローバルな360度評価データを分析し、
優れたリーダーシップと組織のパフォーマンスとの関係を研究してきました。

その研究をもとに開発されたリーダーシップ開発プログラムの一つを、
SmartWorksでも長年提供しています。

このプログラムでは、
同じ研修を受けても、参加者が実際に職場で取り組むことは同じではありません。
置かれている状況や課題が違えば、
戦略的な思考力の強化に取り組む人もいれば、
組織の協働やメンバーの能力開発に取り組む人もいます。

では、仕事を取り巻く環境そのものが大きく変わったら、どうなるのでしょうか。

それが非常にはっきり見えたのが、コロナ禍でした。

コロナ以前からこのプログラムを継続していた、あるお客様があります。
毎年数回の研修を長年続けていらっしゃいましたが、
コロナ禍では研修もオンラインになり、参加者の多くが在宅勤務をするようになりました。

当時、参加者から繰り返し聞かれたのが、

「在宅勤務ではコミュニケーションが難しい」

という声でした。

それまで職場に行けば自然にできていたことが、できなくなります。

部下の様子を何となく見る。
ちょっとした変化に気づく。
声をかける。
仕事の合間に話をする。

そうした機会が一気に減りました。

参加者は、研修後も半年近く、
それぞれが自分の職場で決めた行動に取り組み続けました。

しかし、それまでと同じやり方は使えません。

「在宅では難しい。やりにくい。代わりに何ができるだろう」

そんなことを考えながら、試行錯誤が続きました。

半年ほど経つと、興味深い声が聞かれるようになりました。

「対面のコミュニケーションの機会が減っても、代わりにできることがたくさん見つかった」

「テレワークでは、それぞれのメンバーと長時間を過ごせない。
時間の長さを情報の質で埋め合わせるように心掛けた。効果があったと思う」

「体系的に情報を共有するようになった。
仕事を割り振るときにも、誰に、なぜ任せるのかを常に考えるようになり、
以前より相手の能力を的確に把握できるようになった」

「オンライン会議でも、皆の発言が増えてきた」

「個々の能力強化やモチベーション向上にも効果が表れたと感じている」

もちろん、「在宅勤務はやりにくい」という声がなくなったわけではありません。

しかし、参加者がやっていたことは、
単に対面でしていたことをオンラインに置き換えることでもありませんでした。

時間の長さを、情報の質で補う。
情報共有の仕方を変える。
誰に、なぜ仕事を任せるのかを、以前より意識して考える。

環境が変わったことで、それまで無意識に行っていたマネジメントを見直し、
新しい環境に合わせて、自分の行動を変えていたのです。

コロナ禍は特殊な出来事でした。

しかし、環境が変わることで、
それまで成果を上げてきた方法がそのままでは機能しなくなることは、これからも起こります。

働く場所が変わる。
チームの構成が変わる。
顧客が変わる。事業が変わる。
仕事の進め方が変わる。

そのたびに、リーダーシップの基本をすべて捨てて、
新しいものに入れ替える必要があるわけではありません。

メンバーの能力を引き出す。
必要な情報を共有する。
意見を引き出す。
仕事を適切に任せる。

ただし、目指していることは同じでも、
それを実現するために必要な行動は、環境によって変わることがあります。

コロナ禍のテレワークは、そのことがとてもよく見えた時期でした。