リスク・コミュニケーションというと、
危機に際して、パニックを起こさせたり無関心を招いたりすることなく、
必要な情報を正確に伝えることを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、それも重要な役割です。
しかし、リスク・コミュニケーションにはもう一つ重要な側面があります。
異なる情報や見方を持つ人たちが、
対話を通じてリスクについての理解を深めていくプロセスです。
専門家の間でも、
何を重視するか、どのリスクを大きいと考えるかについて、見解が異なることがあります。
そんなとき、
「専門家のA氏はXが重要だと言っている。一方、B氏はYが重要だと言っている。なぜ違うのですか」
と質問を返してみる。
さらに質問し、比較していくことで、
それぞれがどのような情報をもとに考えているのか、
どこに検討すべき点があるのかも見えてきます。
一方的に情報を受け取るのではなく、
こうしたやり取りを通じて互いの理解を深めていくことも、
リスク・コミュニケーションの大切な役割です。
そして、こうした対話の土台になるのが信頼です。
信頼できないと思っている相手の話を、素直に聞くのはなかなか難しいものです。
対話が大切だとわかっていても、対話は簡単ではない
とはいえ、これは言うは易し、行うは難しです。
日頃から行動を見ている身近な人でもない限り、
相手が何を考え、
何を大切にしているのかを知るためには、
いろいろと質問する必要があります。
ところが、専門分野が違えば、相手の話そのものが難解です。
使われている用語すら理解できないこともあります。
わからないから質問したい。
でも、あまりに基本的なことを聞いて、相手の気を悪くさせたらどうしよう。
意見に疑問を感じても、どのように質問すればよいのかわからない。
質問した結果、相手との間に少し緊張が生まれたときに、
どうやって会話を修復すればよいのかわからない。
こう考えると、
異なる専門性や考えを持つ人たちが互いに理解を深めるには、
単に「よく話し合いましょう」だけでは足りないことがわかります。
何がわかっていて、何がまだわからないのか。違いはどこにあるのか。
そして、
違いがあっても、相手との関係を壊さずに対話を続けるには、どうすればよいのか。
異なる専門性や考えを持つ人たちが理解を深めていくためには、
分析的に考えることと、対話すること、その両方が必要になります。
SmartWorksでは、この二つに関わる方法として、
「精密に考える思考のツール(Precision Questioning and Answering)」と
「ダイアローグワークス(DialogueWorks)」をご紹介しています。